「トルク・馬力」ではなくトルク曲線を見ろ!

車好きな子供や学生はその車のスペックを「馬力」というものさしで判断しますね。幼い頃はマイバッハやロールスロイスのような上品な高級車よりも、ポルシェやフェラーリ、ランボのようなヤンチャなスポーツカーにおこがれるでしょう。その時必ず馬力を気にしますね。なぜなら馬力がパワーだと思っているから。英語でも”horsepower”と言いますのでそのような勘違いをしている人も多いでしょう。トルクと馬力を説明できない大人が多いからいつまで経っても馬力にばかりとらわれるのです。

私が小学生の頃、トルクと馬力の違いはわかりませんでした。私も当時、馬力=”力”と思っていたので、トルクが何かはわかりませんでした。大人に聞いても非常に曖昧な答えばかり。ポルシェのディーラー「インプロブ」のセールスマンが言ってましたねー、、、優しく、でもお子ちゃま扱いで「〇〇くん!トルクは走るための力だよ!!」とか「回ろうとする力!!」って。「馬力が力」って思ってんだからそんな説明じゃわかんねえよバカって思いましたね。父についていた担当でしたが、数値とカタログだけ覚えた車を理解していないただのセールスマン。ステータスで乗っているポルシェオーナーにぴったりですね。私とは全く話が合わないでしょう。

トルクと馬力の正体は?

私がトルクと馬力が分かったのは高校生の頃です。物理で「力とは」「仕事とは」を学習したからです。力と仕事がわからなければ以下の記事を見てください。

分かりやすく言えば力は「ベンチプレスで重りを上げる力」で、仕事は「重りを上げたことによる消費カロリー」です。それぞれの単位はN(ニュートン)とW(ワット)です。カロリーはkcalじゃないかと思いますが、理科で1J≒4.2kcalとか聞いたことはありませんか?1W=1J/sなのでワットとカロリーは同じ話なのがわかります。

「トルクと馬力の違い」って検索するとたくさん説明が出てきます。すると「トルク=力、馬力=仕事」という説明が見られますが、半分正解、半分間違ってるかなと思います。単位を見ると分かりますす。力の単位は「N」です。一方で車のカタログでトルクの単位を見ると「Nm」で、力×距離を意味しますから仕事「W」にあたります。つまりトルク馬力も正体は仕事なんです。この2つの違いは次の通りです。

トルク=1mあたりの仕事量 馬力=1秒あたりの仕事量

馬力の求め方

馬力はトルクとタイヤ外径、エンジン回転数によって算出されます。タイヤの半径を$r$[m],エンジンの回転数を$x$[rpm]とするとタイヤ外周は$2πr$[m]なので、1秒に進む距離は$$2πr×\frac{x}{60}[m]$$です。エンジンパワーを$F$[N]とするとトルクは$F[N]×1m=F[Nm]$になります。そして馬力は$$F[N]×\frac{2πrx}{60}[m]$$になるわけです。それでは具体的に計算します。225/55R17のタイヤ外周$2πr$は679.8mmです。6.8mとしましょう。4250rpmでトルク530Nmを発揮するエンジンのパワーは530Nです。後は太字を代入すれば馬力が計算でき $$530[N]×\frac{6.8×4250}{60}[m]=255283W=255kW$$4250rpm時の馬力は255kWと求まりました。

まとめ

トルクは単位距離あたりの仕事量なので、数値上は力と全く一緒です。従って一般的に理解する上ではトルク=力と考えて良いです。力は質量×加速度であり、車の加速に直結するのはトルクと考えられます。ディーゼル車やスーパーチャージャーを積んだ車はトルクを感じると言いますよね?それは低回転にトルクピークがあり、加速をすぐ感じることができるからです。瞬発力はないマッチョと、華奢だけどパンチが速い人に体を押された時、どちらが「ヤバイ!こいつ強い」って感じますか?それと一緒で車もエンジン回さなくても加速する方がパワーを感じるわけです。

次回はトルクと馬力を踏まえたチューニングについてお話しします。

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MAMORU SARAYA