【AMG最高峰】デモカーS65AMGの特殊なECUチューニング

お世話になります。

今回は激レアな車両に特殊なECUチューニングをご紹介させて頂きます。まず弊社のデモカーについてご紹介させて頂きます。メルセデスベンツW221 S65AMGになります。エンジンは6.0L V12ツインターボ、純正で612馬力, 1000Nmあります!スペックだけ聞くとすごいんですが、S65は2280kgあるので重いです!またベンツは定回転は非常にもたつきがあり、料金所過ぎてからのフル加速でパワーゾーンが高回転故に負けてしまいます。

今回は65のECUチューニングの過程とその癖の強さをご紹介していきます!

まずECUが特殊

通常10気筒以上の車はECUが2個あります。FerrariのF12やF458、AudiのR8、Lexus LFAもそうです。しかし、ベンツのV12はECUが1個しかありません!しかし上の車種をよく見ると、心眼で左右対称に黒いチップが組み込まれているのがわかると思います。実は1つのECUに2枚分のチップを積んでいることがわかります。そしてこの65はOBDからデータを書き込むができず、毎回ECUを取り外して直接アクセスしなければなりません。

因みにこのようにして基盤にアクセスします。2枚のチップを同時に書くことはできないので、片方だけに電源を流して、それが終わったらもう片方に書くという非常に面倒な方法になり、通常の2倍の時間がかかります!

ECUチューニングの王道ーブーストアップ

まず最初にやったチューニングはブーストアップです。ブーストアップをすると簡単にパワーアップし速くなりますが、走り方によってはかえって遅くなることがあります。合流や追い越しの一瞬だけであれば速いのですが、新東名を連続で爆走するとなるとタービンの温度が上がり、インタークーラーの容量不足が懸念されます。また300km/hチャレンジするときに途中で車に割り込まれ、再加速しようとするとその熱問題を体感できます。

ミッションとの相性

W221世代までの600, 65AMGのV12車両は実は5速ATなのです。最近ベンツに乗り始めた方ですと7速や9速しかなく、5速ATの時代を知らないようです。ましてV12の最高峰グレードに5速を積んでいるとは思えないようです!実はパワーがあり過ぎて7速・9速が壊れる恐れがあり採用が遅れたのです。S65を現行車と同じ要領でチューニングすると実はミッションとの相性が悪くなります。速くはなりますが、V12の上品さは無くなります。ECU側でブースト圧やトルクリミッターを上げるのはこの65にとってはよくないことだとわかりました。

謎のエンジンチェックランプ多発!

2枚の写真を載せさせて頂きました。ベンツのディーラーが持っている診断機(通称DASまたはXentry)と同等品で読み取ったエラーです。1枚目はTWCのダメージと2,4,5,6のミスファイヤ、2枚目はTWCのダメージと5,6,7のミスファイヤです。これらは別日にデータエラーになります。

ベンツのV12でこの種の有名な原因が

  1. プラグの劣化
  2. イグニッションコイルの劣化
  3. ボルテージコンバーターの劣化
  4. O2センサーの劣化
  5. 燃料フィルターの劣化

以上が一般論と私の考えつく要因です。ただ今回は1,2は可能性が低いと考えました。まず1番については複数のプラグが同時にミスファイヤを起こすのは稀である点です。2番は右バンクが1〜6、左バンクが7〜12と思われますが、今回左右どちらでも起きることからも稀と思います。4番については、実はこのテスト走行よりも前にO2センサーが原因でセンサー自体のエラーを検知していたため、このようなフォルトは出にくいのではないかと考えました。残るは3と5なのですが、そこを治すがDIYでやるには少々面倒に思ったのと、65の上品らしさを残すために、違う方法で速くしようと考えました。

ブースト圧は上げずに速くする!

結局、熱でインタークーラーの冷却不足とブースト圧上昇に伴う燃調を濃くしたことで、燃費の低下も多少なりともあるので、ブースト圧はそのままにしました。点火時期やトルクリミッターなどを変えることで、低回転でもレスポンスよく走れるようにしました。

後日シャシダイを測ろうと思います。その時はまたブログにお載せします!

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MAMORU SARAYA